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農業一口メモ

2025年11月11日 たらのめの促成までの管理

今日は、たらのめの促成までの管理について紹介します。
まずは、穂木の切断ですが、1芽単位に、芽の上を水平に切断します。この切った枝を駒木と呼びます。なお、切断作業中は安全に十分配慮しましょう。
次に、樹液の除去です。切った駒木をすぐに水に浸漬すると、3~6時間後には切り口から樹液が出ます。このあと駒木を取り出し、シャワーノズルでこの樹液を十分に洗い流します。樹液が促成中のカビの原因になるので、この工程は必ず行いましょう。
次は伏せ込みです。深さ7cm程度の育苗箱に薄い板などで十字に仕切りを作り、駒木を立てて並べます。この箱を促成ベッドに入れ、清潔な水を深さ1cm程度まで入れます。
最後に促成管理です。伏せ込みを始めてから萌芽までは温度を20℃とし、その後は15℃一定で管理します。萌芽するまでは切り口の樹液をシャワー等で適宜洗い流し、促成ベッドの水も定期的に交換します。
促成たらのめは、12月~4月まで出荷できますが、例年、3月頃から需要が高まります。計画的に出荷するためには、今年の穂木数を勘案して、促成、出荷計画を立てることが重要になります。

2025年11月10日 たらのめ促成栽培の準備

山菜の代表的な品目であるたらのめは、県内各地で栽培が行われています。ハウスを使った促成栽培では、12月~4月までが出荷時期となります。今日は、たらのめの促成栽培について、圃場で養成した穂木の採取と保管方法、促成ベッドの作成手順について紹介します。
まずは穂木の採取ですが、落葉後の11月頃に行います。来年の穂木養成のために2芽~3芽を残し、のこぎりで水平に切り取り、生育の揃った穂木を10本ずつ束ねます。穂木の保管は、直射日光や風の当たらない小屋等に立てかけて置きます。
次に、促成ベッドの作成手順です。高さ1mの台を作り、この上に幅1.2m、長さ5.4m程度のコンパネを水平に固定します。この上に高さ20cmの枠を作り、ビニールを敷いてプール状にします。そして、促成ベッドの底面から約30cmの高さに、電熱線を互いに触れないよう、一坪当たり200ワットを目安に配線します。更に、それらを覆うため、トンネル支柱を設置し、ビニール、保温資材、遮光資材、サーモスタットを準備します。明日は、促成までの管理について紹介します。

2025年11月7日 年末出荷に向けた「啓翁桜」切り枝の低温処理

「啓翁桜」は、年末から正月にかけて高い需要があります。この時期に「啓翁桜」を咲かせるため、11月末頃までに、休眠中の花芽が8℃以下に500時間当たったことを確認してから休眠打破処理します。ところが、気象庁の季節予報では、今年も11月の気温が高くなる予想のため、特に平地の圃場では低温不足の懸念があります。そこで、大型冷蔵庫を用いたり、山あげをするなど「啓翁桜」切り枝の低温処理の実施を検討しましょう。
冷蔵庫利用の低温処理で大事な点は、収穫した切り枝を乾燥させないことです。そのため、圃場では長めに枝を収穫します。そして、冷蔵中は切り枝に風を直接当てないようにします。また、基本的に落葉した切り枝を用いますが、落葉前の場合は、蒸散による乾燥を防ぐため、水等が入ったバケツに入れて処理します。果樹を保管していた冷蔵庫を利用する場合は、事前に扉を開放し、大型扇風機等を利用してエチレンを排出しておきます。
山上げによる低温処理の場合でも、切り枝を乾燥させないことが大事です。冷蔵庫利用の注意点に加え、直射日光が当たらない建物の北側等に置くようにします。
現在、低温が0時間の地域でも、9日から連続して8℃以下で処理すると、11月末までに500時間に達します。気候変動に対応した取り組みを行って、需要の高い年末出荷をしていきましょう。

2025年11月6日 りんご「黒星病」の収穫後対策

今年のりんご「黒星病」の発生は、防除対策が適切に行われた結果、県全体では少ない発生量となっています。来年も発生を抑えるために、収穫後の防除対策を徹底しましょう。
「黒星病」の防除は、いかに初期の感染を抑えるかが重要なポイントです。そのため、今年の収穫後と来年の春、りんごが発芽する前に薬剤散布を行いましょう。さらに、今年発生が多かった園地では、最初の伝染源となる被害葉の対策が重要となります。落葉した被害葉を集めて処分したり、完熟堆肥で被害葉を被覆するなどして、伝染源となる菌の密度を低く抑えましょう。
また、枝葉が混み過ぎている樹や、樹間の狭い園地では、薬剤がかからない部分が残り、そこから発病して多発生につながってしまいます。薬剤がかかりやすい樹や園地となるよう、間伐、縮伐、剪定を適切に行いましょう。
まもなく、りんご「ふじ」の収穫盛期を迎えます。収穫が終了した園地から、対策を確実に実行して、来年も「黒星病」の発生を少なく抑えましょう。

2025年11月5日 うるいの促成栽培

うるいは、味や香りにクセが少なく、シャキシャキとした食感の山菜で、様々な料理に利用できます。ハウスを使った促成栽培では、2月から収穫が本格化します。今回はうるいの促成栽培について、圃場で養成した株の掘り上げ、促成床の作成手順、促成方法について紹介します。
株の掘り上げは、葉が黄変した頃に行います。掘り上げた株を集め、金網などで囲って野ねずみの食害を防止し、直射日光等で株が乾燥しないように、遮光資材等で被覆して保管します。
次に、促成床の準備です。ハウスを整地し、幅120cm、深さ10cm程度に掘り下げ、周囲にコンパネなどで高さ約45cmの枠を設置します。次に、底面に1坪当たり約200ワットの電熱線を配置して、サーモスタットに接続します。
最後に促成方法です。芽の伸長には、促成を始める前に8℃以下の温度に900時間以上遭遇する必要があり、県内では概ね1月上旬頃から促成を始められます。促成床に株を並べて十分に灌水し、温度センサーを株元に差し込みます。軟白資材にはもみ殻を用い、20cmの厚さになるように投入します。促成温度は芽が動くまでは20℃、芽の伸長期は18℃、収穫直前は15℃とします。生育ステージに合わせた温度管理を徹底し、良品生産に努めましょう。