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啓翁桜は、一足早く春を感じられる花として冬の間多くの方に楽しまれています。一方、桜の開花予想がニュースになる3月も、卒業式や送別会等のイベントに使われ、高い需要があります。しかし、3月に出荷するためには、促成を開始するのが2月以降となるため、促成の直前に枝を切って収穫する場合、雪による枝折れや、鳥による花芽の食害が問題となります。そこで今回は、その対策として、根雪前に収穫した切り枝を最長で80日間貯蔵できる、切り枝の長期貯蔵方法を紹介します。
長期貯蔵には、花芽や枝ぶりが充実した長い切り枝を選びます。枝を出荷規格より20㎝以上長く調整しておき、貯蔵スペースが小さくなるように結束して、貯蔵場所に運びます。
貯蔵場所は、室温が3℃程度で、湿度を高く維持できる低温室が理想です。貯蔵中に切り枝が乾燥するのを防ぐために、風が枝に直接当たらないようにします。また、降雪が早く、積雪量が多い地域では、枝を雪に埋めることで長期貯蔵が可能となります。この場合、枝を横に倒して置くと少ない雪の量でも貯蔵できます。また、ブルーシート等で枝を包むと、鼠による枝の食害を防止でき、雪から掘り上げる作業を効率的に進めることができます。